あなたを忘れない〜2024年度版〜

 ※表示している成績は広島での成績、通算は生涯成績です。

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10 マット・レイノルズ(内野手)

1990年12月3日生まれ
アーカンソー大〜メッツ(12−17)〜
ナショナルズ(18)〜ロイヤルズ(19−20)〜ホワイトソックス(21)〜
メッツ(22)〜レッズ(22)〜広島(24)

2023年シーズン中に左肩手術のため自由契約に
その後、引退を表明
試合 打数 安打 打点 本塁打 四死球 三振 盗塁 打率
2024 2 4 0 1 0 0 2 0 .000
通算 2 4 0 1 0 0 0 0 .000

 カープは2023年オフ、ドミニカ共和国のカープアカデミー出身のコルニエル投手以外の4人の外国人選手を自由契約とし、新たに4人の新外国人選手を補強しました。すなわち外国人選手を総入れ替えしたわけで、野手に関しても2年目に打率が低迷したマクブルーム選手、長打力はあっても打率が低かったデビッドソン選手の2人がチームを去り、新たに内野ならどこでも守れるユーティリティ性の高さと、長打も期待できる選手として獲得したのがマット・レイノルズ選手でした。

 レイノルズ選手は2012年にニューヨーク・メッツからキャリアが始まり。2016年にメジャーデビューし、初ホームランも放つなど47試合に出場。翌2017年には68試合に出場。2018年はワシントン・ナショナルズ、2019年からはカンザスシティ・ロイヤルズ、2022年にメッツに復帰するも、同年シンシナティ・レッズに移籍し、多くの球団を歩き渡いてきました。

 メジャー通算では223試合に出場し、打率.230、出塁率.302、7本塁打、42打点の成績を残しています。キャリアハイは2022年のレッズ時代で、92試合に出場し、244打数60安打3本塁打23打点、打率.246の成績を残しました。2023年は3Aルイビルで115試合に出場して、444打数118安打22本塁打90打点、打率.266、出塁率.352。選球眼がある反面、三振が多い中距離ヒッターというところでしょう。ただ、菊池選手や上本選手に代わる二遊間を守る存在としては、33歳という年齢は気になるところでした。

 春季キャンプ中に左肩三角筋炎症により、別メニュー調整を余儀なくされることもありました。思い返せば、この頃から左肩に大きな不安を抱えていたということになります。ただ、3月に入るとともにオープン戦ではスタメンに名を連ねるようになり、さらに一時は瞬間的に打率は3割を超えたときもあり、3月13日の日本ハム戦ではレフトスタンドへ豪快な一発も放ち、期待が高まるとともに、左肩は万全なのだろうと、その不安はどこかへ消えていました。

 しかし、その後、オープン戦ではなかなか結果を残せないまま、打率は.154まで低迷。左肩の影響なのかと不安を残すまま、シーズン開幕には6番・サードでスタメン出場。開幕戦では3回の第2打席にセンターへの犠牲フライを放ち、来日初打点を挙げました。まずまずの滑り出しかと思えば、翌日の試合中に左肩痛を発症。選手登録を抹消されました。

 しばらく音沙汰なしの状況が続きましたが、5月にはまもなくフリー打撃が再開でき、5月末には2軍で復帰できるという情報もありましたが、実際に5月が終わっても、ウエスタンリーグの試合で名前を見ることはなく…。どうやら復帰は6月中旬にずれ込みそうだという報道はあれど、その頃になっても、やはり名前はなく…。

 6月26日、レイノルズ選手本人がSNSで肩の手術をしたことが、その2日後、カープが契約を解除したことが発表されました。どうやらシーズン中は左肩の完治が見込めないようで、やむなく契約解除。ウエーバーにかけられましたが、獲得を希望する球団はなく、そのまま自由契約となりました。ただ、球団側としても、獲得しようとした時点でこのことは確認できなかったのでしょうか

 そして10月に入り、現役を引退することをレイノルズ選手自身が公表しました。よほど左肩の状態が良くなく、これ以上の現役続行は難しいと判断したのでしょう。カープでは1軍でわずか2試合、2軍では出場すらなく、開幕から3ヶ月で退団。もし、故障なく、日本の野球に馴染んできたらどうなっていただろう…と、オープン戦での本塁打を思うと、もしかしたら活躍できていたかもしれないとも思ってみたり…。いずれにいても、残念な結果に終わりました。

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42 トーマス・ハッチ(投手)

1994年9月29日生まれ
オクラホマ州立大〜カブス傘下(16−19)〜ブルージェイズ(20−23)〜
パイレーツ(23)〜広島(24)

シーズン終了後に来季契約更新を行わず、退団。
試合 投球回 四死球 奪三振 自責点 防御率
2024 5 0 3 0 22 12 18 18 7.36
通算 5 0 3 0 22 12 18 18 7.36

 2023年オフ、カープはドミニカアカデミー出身のコルニエル投手を除く4人の外国人選手を自由契約とし、新たに4人の外国人選手を獲得しました。その中の1人が先発候補として期待されたハッチ投手でした。

 2016年のドラフトでオクラホマ州立大からシカゴ・カブスに入団したハッチ投手は、ブルージェイズ時代の2020年7月にメジャーデビューを先発で飾り、8月には中継ぎでメジャー初勝利を手にしました。この年、メジャーで17試合に登板し、3勝を挙げました。来日直前の2023年は主に中継ぎで18試合に登板し、防御率は4.08、3Aでも主に中継ぎで31試合に登板し、4勝2敗、防御率4.63の成績を残しました。

 そんなハッチ投手はストレートが平均でも150キロを超え、最速は157キロ。ツーシーム、スライダー、チェンジアップ、カットボールが持ち球ですが、特にスライダーは決め球としているほど、主となる変化球でした。ただ、実際にはパワーピッチャーで、ストレートで押しながら、持ち球の中でも限られた球種の中で緩急をつける…メジャーやマイナーでの起用がそうであったように、中継ぎタイプのような印象を受けました。

 しかし、球団としては先発候補として獲得した右腕。新井監督も期待度が高かったのか、春季キャンプでは紅白戦やオープン戦で先発し、2イニング程度を2試合投げただけで、早々に先発ローテーション入りを決めてしまうほど。アドゥワ投手や玉村投手らが先発で何度か結果を残しても、先発ローテーション入りが確定されない中で、なぜハッチ投手はすぐに確定したのか…先発として長いイニングで結果を残したわけではない中で、不可解な判断に何となく嫌な予感がしていました。

 4月6日の中日戦で来日初先発も5回3失点。先発として最低限の結果とは言え、8安打を浴び、内容としては今ひとつでした。それでも次の4月12日の巨人戦は6回2失点と好投しました。しかし、先制点をもらった直後に2ランを浴びたこと…打線の援護があった試合でも、リードをすぐに失ってしまう傾向があり、それは7月26日のヤクルト戦が最たる例で、この日は得点力不足に悩む打線が2回に9点もの強力援護をしてくれたのですが、ハッチ投手は4回6失点…

 2度目の2軍降格後、8月10日のウエスタンリーグでのソフトバンク戦で、塁審の判定に対して暴言を吐き、退場処分を受け、制裁金5万円を科せられると、9月11日のくふうハヤテ戦でも同じように暴言行為で退場処分に…制裁金10万円を科されました。

 日本の野球になかなか馴染めず、またなかなか結果が残せず、フラストレーションがたまっていたのでしょうか。退場処分が続いてしまったことは、ハッチ投手自身の評価を大きく下げたことにつながったのかもしれません。ただ、今でも思うのは、本当にハッチ投手は先発タイプだったのか、早々に開幕ローテーション入りを決めた判断は適切だったのか…球団が求めた役割にハッチ投手をむりやり当てはめてしまったことで、本来のパフォーマンスを活かせなかったのではないかと感じずにはいられません。

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95 ジェイク・シャイナー(内野手)

1995年8月13日生まれ
ヒューストン大〜フィリーズ傘下(17−19)〜
マリナーズ傘下(19−23)〜広島(24)

2023年シーズン中に左肩故障のため自由契約に
試合 打数 安打 打点 本塁打 四死球 三振 盗塁 打率
2024 12 30 4 5 1 1 9 0 .133
通算 12 30 4 5 1 1 9 0 .133

 カープは2023年オフ、外国人選手の補強として、ドミニカ共和国のカープアカデミー出身のコルニエル投手以外の4人の外国人選手を全員入れ替えるという大胆な策に打って出ました。その中で、開幕4番も務めながら打撃不振に苦しんだマクブルーム選手、チームトップの19本塁打とパワーはあっても打率が低かったデビッドソン選手の2人がチームを去ることになり、右の長距離砲として期待され、新たにチームに加わることになったのがシャイナー選手でした。

 シャイナー選手は2017年のMLBドラフトでフィリーズから指名されたことで、プロとしてのキャリアをスタートしました。一時はメキシコリーグでもプレーしましたが、2023年はマリナーズ傘下の3Aタコマでプレーし124試合に出場、三振が目立つものの、30本塁打105打点という好成績を残しました。しかし、メジャーの経験はありませんでした。ただ、パワーは魅力で、デビッドソン選手の後釜としての期待はありました。

 春季キャンプからパワーのある打撃とサードでの堅実な守備を見せていましたが、紅白戦などの実戦では捉えたような当たりはあるものの、スタンドにはなかなか届かない…オープン戦に入っても、長打を打ちたいと引っ張りの意識が強すぎるのか、なかなか打球は上がらず、サードゴロやショートゴロばかりで、初安打が出るまで20打席を要しました。

 結局、オープン戦では期待された本塁打はなく、打率も.111と低空飛行が続く中で、そのままシーズンが開幕。開幕すれば変わってくると、新井監督は期待感を膨らませる中で、開幕戦ではDeNAのエース・東克樹投手からレフト線へ2塁打を放ち、来日初安打!幸先の良いスタートを切ったのですが、翌日、ファーストの守備の際に負傷し、「右手中指のPIP関節剥離骨折」と診断…ウエスタンリーグに復帰するまでに約1ヶ月を要しました。

 2軍に復帰したシャイナー選手ですが、なかなか日本の野球に適応できず、打率は1割台前半の低空飛行。5月19日のソフトバンクとの2軍戦で来日初アーチを放つも、なかなか調子は上向かず…。6月に入り、ようやくヒットが出てくるようになり、打率も1割台後半を推移するようになりました。

 カープの1軍は末包選手の離脱により長打力が不足する中で、7月10日、ついにシャイナー選手を1軍に昇格させました。2軍からの推薦もなく、新井監督の独断で決めた異例の昇格には、新井監督のワラにもすがる思いがあったのでしょう。そして、7月17日のDeNA戦で、来日初安打を放った東投手からバックスクリーン左への劇的な勝ち越し3ランを放ちました。カープにとって天敵で、なかなか得点が奪えなかった中での来日初アーチは値千金の一打でした。

 しかし、それ以降は15打席ノーヒット。来日初本塁打はきっかけにはならず、しかも7月31日、打席でのスイングの際に、今度は「左手関節尺側根伸筋腱鞘炎TFCC損傷」でまたも離脱…。同時にカープに入団したレイノルズ選手に続き、シャイナー選手もシーズン中の復帰が見込めず、契約解除という形で退団となりました。

 日本で放ったヒットは本塁打を含めてわずか4本。しかも、そのうち3本がDeNA・東投手から…しかし、3度目の対戦では、やはり相手もセリーグを代表する左腕だけに、しっかり対策を練ってきた中で、シャイナー選手はまったく相手にならず、しかも故障離脱。日本の野球に適応できなかったというより、むしろそのレベルに達していなかったのかもしれません。退団時はまだ29歳…新天地での活躍を願うばかりです。

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