第1戦
広 島2−2ソフトバンク
(10月27日、マツダスタジアム)
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | T |
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
広島 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
勝 | - |
負 | - |
S | - |
本 | 菊池1号(1、千賀) |
打順 | 1番・ショート:田中 2番・セカンド:菊池 3番・センター:丸 4番・ライト:鈴木 5番・ファースト:松山 6番・レフト:野間 7番・キャッチャー:會澤 8番・サード:安部 9番・ピッチャー:大瀬良 |
継投 | 大瀬良−岡田−一岡−フランスア−中崎−ジャクソン− ヘルウェグ−中田 |
カープは初回、150キロを超えるストレートと消えるような魔球「お化けフォーク」が武器の福岡ソフトバンクのエース・千賀投手から菊池選手が高めの球を左中間スタンドに運ぶソロ本塁打と、さらなるチャンスで松山選手がライトへタイムリーを放ち、エースの立ち上がりを攻略しました。ホームの地の利を活かして、まずは幸先良く先制です。
カープ先発・大瀬良投手は4回まで相手打線をゼロに抑えていましたが、5回表2死2・3塁の場面でデスパイネ選手のセカンドへの当たりを菊池選手が何とかキャッチし、1塁へ送球しますが、ファースト・松山選手が捕球できずに、2者生還…あえなく同点に追いつかれました。
その後は両チームの投手陣が踏ん張り、延長12回まで決着が付かず、第1戦は1986年、カープと西武の日本シリーズ以来の引き分けスタートとなりました。打線は初回の2点以来得点はなく、福岡ソフトバンクが繰り出す武田投手や石川投手、高橋礼投手やモイネロ投手といった多彩な中継ぎを攻略することの難しさを痛感した試合でもありました。
第2戦
広 島5−1ソフトバンク
(10月28日、マツダスタジアム)
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | T |
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | |||
広島 | 1 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | X | 5 |
勝 | ジョンソン 1試合1勝 |
負 | バンデンハーク 1試合1敗 |
S | - |
本 | - |
打順 | 1番・ショート:田中 2番・セカンド:菊池 3番・センター:丸 4番・ライト:鈴木 5番・ファースト:松山 6番・サード:安部 7番・レフト・野間 8番・キャッチャー:石原 9番・ピッチャー:ジョンソン |
継投 | ジョンソン−フランスア−中崎 |
敵地・福岡ヤフオクドームでは、特に日本シリーズで驚異的な強さを誇る福岡ソフトバンクだからこそ、カープとしては本拠地・マツダスタジアムでは是が非でも勝っておかなければならない第2戦は、ポストシーズンに強さを見せる左のエース・ジョンソン投手を起用して、勝利を狙いました。
カープは初回に福岡ソフトバンク先発・バンデンハーク投手から田中選手が2塁打でチャンスを作り、4番・鈴木選手の高いバウンドのショートへの当たりが内野安打となり、第1戦に続いて先制点をもぎ取りました。3回には相手の守りのミスでチャンスを広げ、丸選手の犠飛と松山選手のタイムリーでさらに2点を追加しました。5回にも菊池選手、丸選手、そして鈴木選手の連打でさらに2点を奪い、リードを5点に広げました。
投げては左のエース・ジョンソン投手が初回から打力重視のオーダーで臨んだ相手打線に対してもコントロールも良く、申し分ないピッチング。3回までパーフェクトに抑え、その後、味方のエラーでピンチを招いても冷静なピッチングで切り抜け、大舞台での強さを存分に発揮しました。この日のジョンソン投手は常に冷静なピッチングでした。グラシアル選手をショートライナーに抑えると、4番・柳田選手に対しては内角を積極的に突く攻めのピッチング。ストレートで内角を攻め、1球高めを見せて、最後は内角低めで見事空振り三振!続くデスパイネ選手もショートゴロに抑えて、この回を無失点で切り抜けました。
エースが試合を作り、上位打線が作ったチャンスをクリーンアップがしっかり得点に結びつける、さらに先制点、中押し、そしてダメ押しと理想的に得点を重ねました。前夜は先制点以降の次の得点が奪えないままの引き分けでしたが、第2戦はしっかり勝利。まずはマツダスタジアムでの2試合を負けずに福岡へ乗り込めることになりました。
第3戦
広 島8−9ソフトバンク
(10月30日、福岡ヤフオクドーム)
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | T |
広島 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 5 | 0 | 8 | |||
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 4 | 1 | 0 | X | 9 |
勝 | ミランダ 1試合1勝 |
負 | 九里 1試合1敗 |
S | 森 2試合1S |
本 | 安部1号(1、ミランダ)2号(満塁、加治屋)、鈴木1号(1、ミランダ)2号(加治屋) デスパイネ1号(2、岡田)、高谷1号(1、中田) |
打順 | 1番・ショート:田中 2番・セカンド:菊池 3番・センター:丸 4番・ライト:鈴木 5番・DH:松山 6番・ファースト:メヒア 7番・レフト・野間 8番・キャッチャー:會澤 9番・サード:安部 |
継投 | 九里−ヘルウェグ−岡田−中田−一岡 |
場所を福岡ヤフオクドームに移しての第3戦。カープにとって敵地で1つでも奪えるかどうかが大きなポイントとなります。そんな第3戦のカープ先発は九里投手、福岡ソフトバンクの先発はミランダ投手…両投手の投げ合いで3回までは両チーム、スコアボードにゼロが並びました。
しかし、4回裏に九里投手が慎重になりすぎたのか連続四球からタイムリーを浴びるなど2点を失い、5回にもエラーが絡みながら、さらに2点を献上。6回には岡田投手が詰まらせながらも不運な当たりを2本許し、デスパイネ選手にストレートの力勝負にいったところをライトスタンドに運ばれる痛恨の3ラン。7回までにスコアは3ー9と一方的にリードを許す展開になりました。
ところがカープはものすごい粘りを見せました。8回に鈴木選手が反撃ののろしを上げるホームランが飛び出すと、1死満塁から安部選手のグランドスラム!一気に5点を奪い1点差としました。9回にもチャンスを作りながら、あと一歩及ばず…。これで1勝1敗1分と完全にがっぷり四つになった日本シリーズ。相手にはかなりの冷や汗をかかせたでしょうし、カープの粘り強さを敵地でも存分に見せ付けた一戦でした。
第4戦
広 島1−4ソフトバンク
(10月31日、福岡ヤフオクドーム)
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | T |
広島 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | |||
ソフトバンク | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | X | 4 |
勝 | 東浜 1試合1勝 |
負 | 野村 1試合1敗 |
S | 森 3試合2S |
本 | 鈴木3号(1、東浜) 上林1号(2、野村)、デスパイネ2号(1、野村) |
打順 | 1番・ショート:田中 2番・セカンド:菊池 3番・センター:丸 4番・ライト:鈴木 5番・DH:松山 6番・ファースト:バティスタ 7番・レフト・野間 8番・キャッチャー:會澤 9番・サード:安部 |
継投 | 野村−ヘルウェグ−今村−アドゥワ−中村祐 |
前夜、6点のビハインドを終盤に1点差まで詰め寄り、第4戦につなげることができたカープ。しかし、第4戦の初回、菊池選手のヒットの後を丸選手に飛び出したセンターオーバーの当たりが、相手の見事な中継プレーで、本塁を狙った菊池選手が憤死…。もぎ取りたかった先制点は、本塁手前、相手の守りの堅さの前につぶれてしまいました。福岡ソフトバンクの守りの堅さを痛感した瞬間でした。
カープ先発・野村投手は打者2巡目となる3回裏、上林選手に対して、甘く入った球をライトスタンドに運ばれる2ランで先制を許します。その直後に鈴木選手の一発で1点差に詰め寄っても、さらに直後にまたも野村投手がデスパイネ選手に特大の一発を浴びて、また点差を広げられてしまいます。6回にも追加点を献上したカープは、相手の磐石な継投の前に為す術なく完敗となりました。
これでこの日本シリーズは1勝2敗1分。初めて福岡ソフトバンクが一歩リードを奪った形になりました。本拠地で抜群の強さを見せる福岡ソフトバンクの勢いの前に、何だか徐々に押され始めている…ポストシーズンでは1つ負けると歯止めが利かなくなるカープだけに、流れとしては厳しくなってきましたが…
第5戦
広 島4−5ソフトバンク
(11月1日、福岡ヤフオクドーム)
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | T |
広島 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | ||
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1x | 5 |
勝 | 加治屋 3試合1勝 |
負 | 中崎 3試合1敗 |
S | − |
本 | 丸1号(2、モイネロ)、曾澤1号(1、武田) 明石1号(1、フランスア)、柳田1号(1、中崎) |
打順 | 1番・ショート:田中 2番・セカンド:菊池 3番・センター:丸 4番・ライト:鈴木 5番・DH:松山 6番・ファースト:西川 7番・サード・安部 8番・キャッチャー:會澤 9番・レフト:野間 |
継投 | 大瀬良−ヘルウェグ−一岡−フランスア−中崎 |
この日本シリーズで初めてリードを許して迎えた第5戦。王者・福岡ソフトバンクを相手に先にリーチをかけられると非常に厳しい展開になるだけに、敵地で何としてでも一矢を報いたい試合でした。カープ・大瀬良投手、福岡ソフトバンク・千賀投手の先発で始まり、ともに5回持たずに降板。5回を終わって3−3の同点という状況でした。
6回表、會澤選手が福岡ソフトバンク・武田投手から放った打球はレフトフライかと思いきや、レフトポール際、新設されたホームランテラスの隅っこ、本当に狭いスペースにスポッと入る勝ち越しのソロホームラン!カープにとって大きな得点を手にしました。
カープはこの年の躍進の原動力となったフランスア投手が6回途中から早くも登板。カープはこれで逃げ切りを図りましたが、7回裏、明石選手にまさかの一発を浴び、試合は振り出しに…。緒方監督の目論見はもろくも崩れ落ちました。
カープは相手が繰り出す豪腕、アンダースロー、左のサイドハンドと、まるで千手観音のようなバリエーション豊富な継投の前に、打線は為す術なくゼロを並べ、迎えた延長10回裏、守護神・中崎投手が柳田選手にサヨナラホームランを浴び、いよいよ王手をかけられました。2年前と同じように、第5戦で守護神が、最も打たれてはいけない、相手を勢い付かせる打者にサヨナラホームラン…これでカープはこれまた2年前と同じように、敵地で3連敗し、窮地に追い込まれた状態でホームに戻ることになりました。
第6戦
広 島0−2ソフトバンク
(11月3日、マツダスタジアム)
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | T |
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | |||
広島 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
勝 | バンデンハーク 2試合1勝1敗 |
負 | ジョンソン 2試合1勝1敗 |
S | 森 5試合3S |
本 | グラシアル1号(1、ジョンソン) |
打順 | 1番・ショート:田中 2番・セカンド:菊池 3番・センター:丸 4番・ライト:鈴木 5番・ファースト:松山 6番・サード:安部 7番・レフト・野間 8番・キャッチャー:石原 9番・ピッチャー:ジョンソン |
継投 | ジョンソン−一岡−フランスア |
敵地・福岡で粘りを見せながらも勝ちきることが出来ずに3連敗を喫したカープ。ついに王手をかけられた状態でマツダスタジアムに戻ってくることになりました。第5戦をサヨナラホームランによる敗戦で王手…2年前とまるで同じパターンです。
そんな第6戦はカープがジョンソン投手、福岡ソフトバンクがバンデンハーク投手の先発。その1回裏、先頭の田中選手がヒットで出塁し、見事盗塁を決めました。相手捕手「甲斐キャノン」を是が非でも崩したい…ここまで盗塁をすべて阻止された甲斐選手から盗塁を決めれば流れを変えられるという考えだったのでしょう。
しかし、執拗に盗塁を狙いながら、すべて返り討ちにあい、今回ようやく成功したかと思われましたが、相手のリクエスト、リプレー検証により、判定は「アウト」に…。このとき、このシリーズでは絶対に盗塁は決められない、そしてこれで流れは向こうに傾いたと感じました。3回までは互いに無得点でしたが、4回にスクイズ、5回にグラシアル選手に一発を浴び、0−2と劣勢の展開に。一度リードを奪うと、ひっくり返されることがほとんどない福岡ソフトバンクを相手に厳しい状況となりました。
打線は福岡ソフトバンク投手陣の前に沈黙。ただただ、スコアボードにゼロを並べていくだけ。第2戦では攻略したバンデンハーク投手を打ち崩せず、速球派の武田投手、変則左腕の嘉弥真投手、そして最後は守護神・森投手と、カープ打線は為す術なく4安打完封負け。2年前と同じく、第3戦からの4連敗。一度負けると、そのままズルズルと引き寄せられてしまう、流れを断ち切れないまま、またも日本一を逃してしまいました。