記録は通過点(投手編)

※日本のプロ野球での記録のみを対象としています。

▲「記録は通過点」のメインに戻る


通算投球回数

イニング数 選手名(単位:回)
球団記録 長谷川良平(3376.1回)
2000回以上
1000回以上〜2000回未満 大瀬良(1258)、野村(1215.1)、九里(1128.1)
500回以上〜1000回未満 森下(596.1)↑、床田(591)↑
300回以上〜500回未満 中崎(484)、岡田(376)、遠藤(302.2)↑
100回以上〜300回未満 島内(192.2)、玉村(190)、戸根(180.1)、
アドゥワ(175.2)、ケムナ(157)、栗林(153)、
矢崎(152.2)、塹江(143.1)、コルニエル(119)、
大道(114.2)、森浦(106.1)↑
50回以上〜100回未満 高橋昂(94.1)、森(70)↑↑、松本(66)
20回以上〜50回未満 藤井(22.2)、黒原(22.1)↑↑
10回以上〜20回未満 河野(12.1)↑↑↑↑、内間(11.2)、益田(11)↑↑↑↑
5回以上10回未満
2回以上〜5回未満 小林(4.2)
0.1〜2回未満
0回 斉藤、長谷部、ハッチ、ハーン、常広、高、滝田、赤塚、日高

 2023年、トップはが野村投手から大瀬良投手に入れ替わりました。大瀬良投手、九里投手という同期で、投手陣をリードする投手が一気にイニング数を積み重ね、九里投手は2023年、シーズン通して先発ローテーションを守り、通算1000イニングを達成しました。また、森下投手、床田投手と、カープの先発を支えている次の世代の投手もイニング数を積み重ね、2023年に500イニングを突破しました。
 しかし、彼らに続く先発候補の台頭が待たれる中で、100〜300イニングの間に実に11人がひしめき合っています。中継ぎの軸になっている投手も目立ちますが、イニングを稼げる先発投手が一気に上位に上がってくるようになれば、先発陣も充実してくることでしょう。

▲トップに戻る


通算完投回数

イニング数 選手名
球団記録 長谷川良平(213回)
51回以上
31〜50回
21〜30回
16〜20回 大瀬良(19回)
11〜15回
8〜10回 九里(9回)↑、森下(9回)↑
6〜7回
4〜5回 床田(5回)↑
3回 野村、岡田、遠藤↑
2回
1回 アドゥワ
0回 中崎、塹江、矢崎、高橋昂、ケムナ、島内、コルニエル、
玉村、藤井、栗林、森浦、大道、小林、黒原、森、松本、
斉藤、益田、河野、長谷部、戸根、ハッチ、ハーン、
常広、高、滝田、赤塚、内間、日高

 佐々岡監督が就任した2020年以降、先発投手には1イニングでも長く投げてもらいたい…そんな采配が目立つようになりました。しかし、その監督の希望にこたえられる投手はけして多くはありません。目下のところ、2019年にリーグトップの6完投、2022年には3完投を達成した大瀬良投手がランキング首位を走っています。しかし、2023年は九里投手がシーズン3完封を成し遂げ、森下投手は3度、床田投手は2度、完投を達成しており、完投能力のある投手が増えてきた印象です。

▲トップに戻る


通算勝利数

勝利数 選手名(↑印は昨季よりもランクアップしたことを示します)
球団記録 北別府 学(213勝)
200勝以上
151〜200勝
101〜150勝
71〜100勝 大瀬良(81勝)、野村(80勝)
51〜70勝 九里(64勝)
31〜50勝 森下(37勝)↑、床田(37勝)↑
21〜30勝 岡田(24勝)、中崎(22勝)
11〜20勝 遠藤(11勝)↑、塹江(11勝)
6〜10勝 アドゥワ(10勝)、ケムナ(9勝)、玉村(9勝)、大道(7勝)↑、
矢崎(7勝)↑、森浦(6勝)、高橋(6勝)、戸根(6勝)↑
3〜5勝 森(5勝)↑↑、島内(4勝)↑↑、松本(4勝)、栗林(3勝)↑↑↑
2勝 コルニエル↑
1勝 益田↑
0勝 小林、黒原、斉藤、河野、長谷部、ハッチ、ハーン、
常広、高、滝田、赤塚、内間、日高

 2023年のシーズン終了時点で、大瀬良投手が野村投手をかわして、チームトップに立ちました。ここに九里投手、床田投手、森下投手と、カープが誇る先発投手陣が続いています。やはり勝利投手になる可能性は、長いイニングを投げるほどに高くなるというわけで、先発投手が上位にランキングされる傾向が強くなっています。

 こうしてみると、10勝前後に1つの壁があり、さらに30勝あたりに次の壁があるように感じます。この2つの壁を突き抜けられるようになると、チームの先発の主力投手にどんどん近づいていくのでしょう。2024年も即戦力の大学生が4人加入しましたが、彼らのプロ初勝利にも期待です。

▲トップに戻る


通算敗北数

勝利数 選手名(↑印は昨季よりもランクアップしたことを示します)
球団記録 長谷川良平(208敗)
200敗以上
151〜200敗
101〜150敗
71〜100敗
51〜70敗 大瀬良(64敗)、野村(63敗)、九里(57敗)↑
31〜50敗 中崎(32敗)↑、床田(32敗)↑
21〜30敗 森下(24敗)↑
11〜20敗 遠藤(19敗)、岡田(17敗)、塹江(12敗)
6〜10敗 玉村(10敗)、高橋(9敗)、森浦(9敗)、島内(8敗)↑、
アドゥワ(7敗)、大道(6敗)↑、コルニエル(6敗)↑↑
3〜5敗 松本(5敗)↑、矢崎(5敗)、ケムナ(3敗)、栗林(3敗)↑↑
2敗 戸根、森↑↑
1敗 藤井、河野、黒原
0敗 小林、斉藤、益田、長谷部、ハッチ、ハーン、
常広、高、滝田、赤塚、内間、日高

 長くプレーしていれば、負けることも当然あります。しかし、うれしいことに、カープは2018年にリーグ3連覇を達成したことで、負け数が増える投手が減りました。ただ、その後は4年連続でBクラスとなっており、負け数が先行している若手投手もいます。貯金の出来る投手を、そして打線の援護で貯金を付けられる投手を1人でも多く成長してくれればと思うばかりです。

 2022年まで負け数のトップは野村投手でしたが、2023年に自身ワーストのシーズン11敗を喫した大瀬良投手が、一気にトップとなりました。ただ、負け数が多いことは、けして悲観するものではなく、それだけ長くプロ野球で、しかも一線でプレーしていれば当然であり、プロ野球選手としての称号です。上位には大瀬良投手、九里投手、床田投手、森下投手と先発の軸となる投手が名を連ねています。

▲トップに戻る


通算奪三振数

奪三振数 選手名
球団記録 川口和久(2092個) ※現役の半分以上、カープで在籍した投手が対象
2000個以上
1001〜2000個
501〜1000個 大瀬良(981個)、九里(849個)、野村(750個)
301〜500個 森下(483個)、床田(413個)、中崎(362個)
101〜300個 岡田(287個)、遠藤(246個)、島内(216個)、
栗林(191個)、戸根(152個)、ケムナ(146個)、
矢崎(144個)、玉村(132個)↑、コルニエル(121個)↑、塹江(117個)、
51〜100個 森浦(97個)、アドゥワ(95個)、大道(92個)↑、
高橋昂(71個)松本(60個)
21〜50個 森(48個)↑↑、藤井(26個)、黒原(24個)↑
11〜20個 内間(16個)、益田(12個)↑↑↑↑↑、河野(11個)↑↑↑↑↑
5〜10個 小林(6個)
3〜5個
2個
1個
0個 斉藤、長谷部、ハッチ、ハーン、常広、高、滝田、赤塚、内間、日高

 2021年、それまでチームではトップだった野村投手を交わし、大瀬良投手が首位に立ちました。そして、2023年終了時点では大瀬良投手に次いで、2位に九里投手が上がってきました。同期入団で、先発の一角を担う2投手が1・2位となっています。また、3位には野村投手が入っていますが、九里投手を含めて、三振を次々と奪っていくタイプの投手ではありませんが、先発として実績を積み重ね、長年投げ続けてきた投手が名を連ねています。

 また、カープの主力先発投手である森下投手、床田投手も急速に数を伸ばし、上位に食い込んできました。上位には先発投手の名前が目立ちますが、かつての守護神である中崎投手が6位に入っているのは注目点でしょう。プロ入り3年間で191奪三振を奪っている栗林投手や、2023年には最優秀中継ぎのタイトルも獲得した島内投手、さらには矢崎投手の勢いも目覚ましいものがあります。

▲トップに戻る


通算セーブ数

セーブ数 選手名
球団記録 永川勝浩(165) ※現役の半分以上、カープで在籍した投手が対象
251以上
101〜250 中崎(115)
51〜100 栗林(86)
21〜50 矢崎(25)↑↑↑↑↑↑↑↑↑
15〜20
11〜15
8〜10
5〜7
4〜5
戸根
大瀬良、島内↑↑
遠藤、矢崎、松本↑
九里、野村、塹江、岡田、高橋昂、床田、
アドゥワ、ケムナ、森下、玉村、藤井、森浦、大道、
小林、黒原、森、斉藤、益田、河野、長谷部、ハッチ、ハーン、
常広、高、滝田、赤塚、内間、日高

 通算セーブ数はまず「守護神」という役割を長い期間にわたって担ってきた投手が上位に入ってきます。さらに続いて、長く中継ぎのポジションに、とりわけ勝利の方程式を担ってきた投手…という順番になってくる傾向にあります。

 球団記録は永川勝浩投手の165セーブ。現役ではリーグ3連覇時の胴上げ投手となった中崎投手がトップに立っていますが、2019年以降は不振が続き、セーブの数は頭打ちになっています。2021年、すい星のように現れたのこの年のルーキー・栗林投手が1年目から守護神を務め、チームの全セーブ数をマークし、守護神として様々な新人記録を打ち立てました。2年目も31セーブをマークし、3年目は故障離脱が多く、思うようにセーブ数は伸びませんでしたが、2024年シーズンには通算100セーブが見えてきそうです。

▲トップに戻る


通算ホールド数

セーブ数 選手名
球団記録 今村猛(115) ※現役の半分以上、カープで在籍した投手が対象
101以上
71〜100 中崎(80)
51〜70 島内(65)↑↑↑
41〜50 塹江(44)、森浦(41)
31〜40 ケムナ(38)
21〜30 矢崎(27)↑、大瀬良(24)、戸根(23)↑
16〜20
11〜15 ターリー(14)、大道(13)↑↑↑、松本(12)↑↑↑
8〜10 コルニエル(10)
6〜7 九里(6)、遠藤(6)、栗林(6)、アドゥワ(6)↑
3〜5
1〜2 岡田(2)、藤井(1)、床田(1)、黒原(1)、森(1)
野村、高橋昂、森下、玉村、藤井、森浦、大道、
小林、斉藤、益田、河野、長谷部、ハッチ、ハーン、
常広、高、滝田、赤塚、内間、日高

 中継ぎ投手で、3点以内のリードを奪ってマウンドを降りるという場合になどに記録されるのがホールドです。セーブがついた投手はホールドの対象からは外れます。2005年から始まったこの記録ですが、2020年に球団最多のホールドを達成した今村投手が、現在もその記録をキープしています。

 2023年終了時点で、トップは中崎投手の80ホールドとなっていますが、この年、球団史上初の最優秀中継ぎのタイトルを獲得した島内投手が39ホールド(42ホールドポイント)をマークする大車輪の活躍で、一躍、チームでは2位に浮上してきました。また、勝利の方程式の一角である矢崎投手や、2023年は不振に苦しんだものの、ルーキーから2年間で41ホールドをマークした森浦投手など、上位勢は、左右のバランスも取れた楽しみな顔ぶれとなっています。

▲トップに戻る


通算四球数

セーブ数 選手名
球団記録 川口和久(1021) ※現役の半分以上、カープで在籍した投手が対象
1000以上
701〜1000
501〜700
301〜500 九里(398)、野村(345)、大瀬良(301)↑
201〜300
101〜200 薮田(中崎(183)、森下(164)、岡田(161)、床田(154)、遠藤(116)
51〜100 戸根(99)、矢崎(98)、島内(89)、塹江(85)、
ケムナ(70)、アドゥワ(66)、玉村(64)、
栗林(62)↑、大道(51)↑
21〜50 コルニエル(50)、森浦(49)、高橋(40)、松本(22)↑
11〜20 森(18)↑↑↑、黒原(14)↑↑藤井(13)
6〜10
1〜5 河野(5)↑、内間(4)、小林(3)、益田(3)↑
斉藤、長谷部、ハッチ、ハーン、常広、高、滝田、赤塚、日高

 球団記録は川口和久投手。その数はカープの歴代投手の中では唯一の4ケタです。荒れ球でどんどん三振を奪っていくというイメージが強い投手でした。

 さて、四球というのはもちろん多くのイニングを投げている投手が、その数が多くなりがちなのは言うまでもありません。当然ながら、中継ぎでも登板試合数を重ねたベテランや、先発を多く経験している投手の方が上位になりやすいのが特徴です。ただ、コントロールに課題がある投手や、どちらかといえば剛速球が魅力の投手は、球がぶれて、四球を出しやすくなるようで、その数を一気に増やす蛍光もあります。

 現在1位は九里投手。そして、2位の野村投手を含めて、いずれも技巧派右腕であり、コーバーを突く投球が持ち味の投手ですが、先発として多くのイニングをこなすとともに、性未知なコントロールを持つ投手ほど、四球も増えてくるのかもしれませんね。

▲トップに戻る


通算死球数

セーブ数 選手名
球団記録 北別府学(99) ※現役の半分以上、カープで在籍した投手が対象
101以上
71〜100
51〜70
31〜50 九里(46)、野村(35)
21〜30 大瀬良(26)
16〜20 森下(17)↑、床田(16)↑
11〜15 中崎(14)、戸根(12)、遠藤(11)↑
8〜10 岡田(8)
6〜7 森浦(7)、アドゥワ(7)、ケムナ(6)、大道(6)↑↑、コルニエル(6)↑
4〜5 塹江(5)、島内(4)、栗林(4)↑、玉村(4)↑
2〜3 アンダーソン(3)↑↑、松本(3)、矢崎(2)、高橋(2)、藤井(2)
黒原↑、森↑、内間、河野
小林、斉藤、益田、長谷部、ハッチ、ハーン、
常広、高、滝田、赤塚、日高

 球団記録は意外にも「精密機械」と呼ばれる抜群のコントロールを誇った北別府学さん。右打者の懐をえぐるようなシュートも武器だっただけに、そのことが死球につながったのでしょう。もちろん、長くプロ野球の一線で活躍されたことも要因ですが、内角を攻めるピッチングが持ち味の投手ならではともいえるかもしれません。

 そう考えると、内角を積極的に攻める投手、シュートが持ち球である投手は、死球の数が増える傾向にあるようです。2022年終了時点でトップに立った九里投手や2位の野村投手は、シュートを使った内角攻めが持ち味。そうなると、どうしても死球が増えてしまうのでしょう。ストレートとカットボールが主体の大瀬良投手は、彼らに比べて死球が少ない傾向があります。技巧派の投手はコントロールを活かして、ストライクゾーンを広く使って抑えるためには必要であるだけに、死球を恐れず、攻めのスタイルは貫いてほしいものです。

▲トップに戻る